大判例

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東京高等裁判所 昭和32年(ラ)9号 決定

民事訴訟法第七百三十三条の規定により建物収去の権能を授与する決定には、その建物を特定して表示しなければならないが、これを特定できる限り必ずしもその構造、建坪等の詳細を具体的に表示する必要はない。原決定によれば収去すべき建物は東京都台東区浅草雷門一丁目六番地の十宅地九十一坪六合六勺の内同決定添附図面記載の六坪三合七勺五才地上に在るふろ場、さしかけであつて該図面には右建物の所在する区域を斜線を以て示し、且つその位置を特定するために必要な基点及び基点からの距離等をも図示してあつて、右斜線区域にあるふろ場、さしかけはすべてこれを収去させる趣旨であること、右決定自体により明らかであるから、収去の目的物件を特定するに欠けるところがない。従つて抗告理由第一点は採用できない。

抗告理由第二点について。

原決定表示の収去物件所在地の坪数六坪三合七勺五才が同決定添附図面の斜線区域に附した縦横の間数を相乗して得た数字と正確には一致しないこと所論のとおりであるが、原決定における右区域の表示は、結局収去の目的たる建物を特定するための一方法であるところ、計算の結果によれば右面積の不一致は僅かに零坪一合七勺五才に過きず、かような僅少な差異のために収去の目的たる建物を特定することができなくなるような特別の事情は本件では認められないから、右坪数の差異を以て原決定を違法とすることはできない。よつて抗告理由第二点もまた採用できない。

(斎藤 坂本 小沢)

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